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韓国財閥の功罪

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韓国財閥の功罪

著者
嚴在漢
出版社
産業タイムス社
出版年月日
2024.12
価格
\4,180
ページ数
270
ISBN番号
9784883533855
説明
 同じ民族同士の争いとなった朝鮮戦争(1950~53年)後、荒廃した祖国の再建に向けて、日本の近代化の経済システムを取り入れたとされる故李炳喆(イ・ビョンチョル)サムスングループ創業者。日本植民地時代の1930年代に留学した李氏は、明治維新以降の日本の近代化過程を強烈に体得し、それを韓国に移植したのが韓国財閥の源流といえます。李氏朝鮮時代はまるで理想郷のような「儒教文化」が根強く、日本の士農工商という階級をなぞらえるかのように、商いは他と比較して軽視された時代でありました。「両班(ヤンバン、朝鮮の貴族)なら餓死はしても物乞いはしない」とは、高潔な朝鮮ヤンバンの面子を重んじる代表的な諺です。つまり、農耕中心的社会であり、商売はあまり奨励されない職業でした。冷静に言い換えると、実利とはかけ離れた理想的な社会を追求したのであります。
 そうした朝鮮社会は、19世紀に欧米からの産業革命と民主化のうねりを徹底的に排斥し、鎖国を通した朝鮮王朝の延命に固執しました。その結果、近代化の遅れを招いた歴史的な負の連鎖に強いられることになります。韓国財閥の代名詞格でもあるサムスンは、創業者の時代からそうした非実利的な社会を改革すべく、ひたすら「豊かになろうよ」というスローガンのもと、「富国強兵」「技術報国(技術を通して国の恩に報いる)」などといった覚悟で国家政策とともに豊かな国造りに貢献してきました。そうしたサムスンに「果たして誰が石を投げられるのだろうか」という、筆者の幼い時からの根深い疑問が本書を執筆した背景であります。
 2023年通年における韓国のGDP(国内総生産)2236兆ウォンのうち、サムスンやSKをはじめとする20大財閥企業の総売上高はGDP全体の72.7%に相当する1625兆ウォン(約180兆円)となりました。財閥企業の範囲を30社まで拡大するとGDPの80%を占めており、韓国経済において絶対的な影響力を誇っていることがうかがえます。このような絶対性こそ、韓国社会が「財閥共和国」と皮肉られる背景でもあります。
 そこで本書「韓国財閥の功罪」は、財閥の胎動、韓国経済における功績、世界経済における位置づけなどを分析しました。そしてまた、財閥の汚点もくまなく取り上げ、客観的な観点から分析しました。さらに今後、韓国財閥が韓国経済ならびにグローバル経済でどう生き抜いていくかなどについても追いました。