日本
中国共産党と三峡ダム 国家プロジェクトの政治過程
日本
中国共産党と三峡ダム 国家プロジェクトの政治過程
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 出版年月日
- 2025.05
- 価格
- \11,770
- ページ数
- 704
- ISBN番号
- 9784766430318
- 説明
- 国家百年の計は、いかにして実現したのか?世界最大の水力発電所を擁する長江三峡ダム。孫文による構想から百年、国家の威信をかけた巨大プロジェクトは紆余曲折を経て、こうして決定された。政策が決まる構造を解き明かし、資源開発、災害対策、および権力の関係を描き出す。
最高指導層と「党員技術幹部」の協働による、三峡ダムのような国家プロジェクトを通して直面する課題の解決、危機管理および国家レベルのビジョンの実現(あるいはその可能性)は、共産党支配の強靭性を担保するひとつの重要な要件となったであろう。本書が行った解明は、今日においてもなおウィットフォーゲル(Karl A. Wittfogel)が指摘した大規模な治水事業によって権力の増強がなされたという有効性を雄弁に語っている。三峡ダムもやがて、都江堰や大運河、万里の長城などの偉業と同様に、この二〇世紀の革命政権の時代を象徴し凝集力を持つプロジェクトとして中国の歴史に刻まれることになるであろう。現代中国の発展の方向を考察する際に、本書で指摘した「党員技術幹部」の率いる主管部門の利益集団化がいかなる政治体制の変容をもたらすかは、非常に重要な視点になると考えられる(本書「終章」より)